日常を送っているうちについ忘れかけてしまう「当たり前」の尊さ。
私たちは、命と向き合う時、突如として、それまでの「当たり前」は全く「当たり前ではなかった」ことに気づきます。
東日本大震災は、その代表格でした。
身近な人・大切な人の死は、決して、他人事ではありません。
だから私たちは、被災地の記憶が風化しないように伝え続けることが、最大の使命だと考えています。
被災者の方々の、今なお続く悲しみや徐々に変化する状況や気持ちに寄り添い、それを一人でも多くの方に伝えることが、改めて「日々をどのように過ごすのか」を問うきっかけになれば幸いです。
2024「ごめんねの日」
2024年3月11日に掲載された「ごめんねの日」は、愛する人の言葉を素直に受け取ることができず、本心とは裏腹の態度をとってしまったまま、それが最後となってしまった方々の実話です。
謝りたくても、もう謝ることができない。
感謝を伝えたくても、もう伝えられない。
今は亡き大切な人へ、その想いを手紙にしたためる。
投函先は陸前高田市に実在する「漂流ポスト」。
このポストには、受け取り手のいないたくさんの手紙が全国から届けられています。
2023「震災修得物プロジェクト」
2023年3月11日に掲載された「震災拾得物プロジェクト」は、
震災12年を経ても、まだ持ち主の見つからない思い出の品をテーマに制作しました。
ランドセル、ママの絵、トロフィー、結婚式のビデオ、写真…
人生の大切な瞬間を映しだすモノたちが、まだ居場所を失ったまま残されています。
取材・撮影中、ある女性がずっと探していた思い出の写真が見つかりました。
その瞬間、まるであの頃のエネルギーが蘇るように、笑顔が輝いていたのが印象的でした。
電通広告賞に加え、新聞広告賞 新聞社部門で〈奨励賞〉を受賞しました。
苦しみを持ちながら、それでも前を向いて生きようとする彼らの姿から、私たちが学ぶことはなんでしょうか?
この受賞をきっかけに、全国の皆さんに一人でも多く、被災地の今を知っていただけたらと思います。